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目次
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視野が狭くなる疾患ですが、原因にかかわらず眼圧を下げることで進行を抑制できます。
緑内障=高い眼圧ではありません。眼圧が正常でも緑内障になります。
緑内障は、視神経が眼圧の上昇だけでなく、もともと視神経が弱いことなど、さまざまな要因で障害される病気です。視神経乳頭部にある網膜神経節細胞の軸索(網膜から脳へ光を伝える神経の「電気コード」のようなもの)が損傷し、進行すると視野に弓状暗点と呼ばれる特有の変化が現れます。
「緑内障=高い眼圧」というわけではありません。実際、眼圧が正常範囲内でも、他の要因が強く影響して緑内障を発症することがあります(これを「正常眼圧緑内障」といいます)。
初期段階では自覚症状がないため、視野が欠けていると気づいた頃にはすでに病気が進行していることが多いです。放置すると失明に至る危険があり、緑内障は日本における失明原因の第1位となっています。
緑内障は、大きく分けて3つのタイプに分類されます。
他の病気が原因ではなく、緑内障そのものが主たる原因となるタイプです。
他の病気が原因で二次的に発症する緑内障です。たとえば、ステロイドの使用やぶどう膜炎、外傷による緑内障が含まれます。
隅角の形成異常などにより、子どもの頃に発症するタイプです。このタイプについては、小児眼科のページに詳しく記載しています。
原発緑内障はさらに3つのタイプに分かれます。
眼の中の水(房水)を排出する「隅角」が正常な状態で、眼圧が21mmHg以上になるタイプです。
隅角が狭くなっておらず、眼圧が常に20mmHg以下であっても発症するタイプです。
隅角が狭くなることで眼圧が上昇し、発症するタイプです。
40歳以上の人口の約5%、つまり20人に1人が緑内障にかかると言われており、年齢とともにその割合は増加します。
緑内障の中でも以下の割合で発症します。
原発開放隅角緑内障:78%(そのうち72%が正常眼圧緑内障)
原発閉塞隅角緑内障:12%
続発緑内障:10%
2000年9月~2001年10月に岐阜県多治見市で40歳以上の一般市民に対して、緑内障の疫学調査が行われた結果、緑内障患者さんの割合が20人に1人と、予想をはるかに超えた患者さんが存在することが分かりました。
また、新たに緑内障と診断された方は89%にのぼり、わが国では未治療の緑内障患者さんが多数存在していることが明らかとなりました。
※1)日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査より⇨ (別ウィンドウが開きます)
人間ドックや健康診断で「視神経乳頭陥凹拡大の疑い」や「網膜神経線維の菲薄の疑い」などの結果が出た方は、緑内障の可能性がありますので、早めに詳しい検査を受けることをお勧めします。
自覚症状はありますか?
これまでに頭や眼を強くぶつけたり、怪我をしたことはありますか?
現在、服用中の薬はありますか?
血縁者に緑内障の方はいらっしゃいますか?
などの質問を通して、詳しくお話を伺います。
細隙灯顕微鏡検査で角膜や虹彩、水晶体に異常がないか確認します。
眼圧検査では眼圧の数値を計測します。必要があれば、隅角鏡というレンズを用いて隅角を直接観察します。
さらに、視野検査、眼底検査、**網膜の厚さを測定する網膜光干渉断層計(OCT)**などの検査を行います。
これらの検査結果をもとに、緑内障の型を決定し、視野検査で病気の進行度を確認します。それに応じて、治療法の選択や目標とする眼圧の設定を行います。
当院では2種類の視野検査や3次元眼底撮影装置OCTを用いて緑内障の早期発見に力を入れています。
電子カルテで検査データを管理しているので、長期的に安定した治療効果の判定と評価を行うことができます。
当院では眼底カメラにOCTを搭載したMaestro(トプコン社)を使用しています。負担なく短時間で眼底を撮影し、その網膜厚さを測定して病気の診断や重症度を判定できます。これは緑内障の進行評価にも大変有用な検査です。
緑内障の治療は、主に点眼薬を用いた薬物療法が中心です。しかし、ただ単に眼圧を下げるだけでは十分ではありません。そのため、まずは患者さんそれぞれの眼圧の平均値をしっかりと把握することが重要です。どの程度眼圧を下げるべきかを判断するためには、この平均値が基準となります。
当院では、治療を始める前にまず患者さんの平均眼圧を測定します。毎日測定しても、受診できるときに測定しても構いませんが、何度か測定を繰り返して平均値を出します。4~5回測定すれば、おおよその数値がわかってきます。
この平均眼圧がわかったら、次に目標となる眼圧を決めていきます。一般的には、平均眼圧から2~3割ほど低くすることを目標にしますが、実際には、患者さんの年齢や病気の進行度、緑内障のタイプなどを考慮して目標値を決定します。
たとえば、正常眼圧緑内障の患者さんでは、もともと眼圧が低い場合がありますし、ご高齢の方で進行がゆっくりな場合には、眼圧を下げながら神経を保護する薬を併用することがあります。一方で、若い患者さんで視野の異常が急速に進んでいる場合は、目標眼圧をさらに低く設定することもあります。
それぞれの患者さんに合った治療を提供するため、私たちは常に細かく状況を見極めながら治療方針を立てていきます。あなたにとって最適な治療を一緒に考えていきましょう。
緑内障の治療が始まったら、定期的に眼圧の測定や視野検査を行って、治療の効果を確認していきます。通常、患者さんには2か月に1回の眼圧測定をお願いしていますが、慎重に経過を見守る必要がある方は1か月に1回のペースで測定を行うこともあります。視野検査については、進行が早い場合には3~4か月に1回の検査が必要ですが、多くの患者さんは落ち着いてくると6か月に1回程度の視野検査で問題ありません。
緑内障治療がうまくいっているかどうかを判断する上で重要なのは、点眼薬がしっかりと眼圧を下げ、設定した目標値に達しているかどうかです。ただし、正常眼圧緑内障のように、眼圧が低くても進行するタイプもあるため、眼圧だけでなく、視野が悪化していないかを定期的に確認することも欠かせません。
当院では緑内障の治療を行っている患者さんには、毎回測定した眼圧の数値を紙に書いてお渡ししています。他人ごとではなく、ご自身の眼圧の推移を主体的に把握し、日々行っている緑内障点眼薬の効果を理解して頂くためです。
体重や血圧を記録するアプリがあるように、眼圧を記録するアプリがいくつかあり、ここにご紹介させて頂きます。
他にもあると思いますが、一例としてご紹介致しました。ぜひこうしたアプリを眼圧管理のサポートになさってください。
iPhoneの方
「緑内障手帳 – 目薬アラーム付き」
Androidの方
「眼圧記録帳」
もし、点眼薬による治療を行っても眼圧が目標値まで下がらず、視野の悪化が早い場合には、手術を検討することがあります。
手術にはいくつかの方法があります。
これは、眼の中の水(房水)の新しい排出路を作る手術です。
新しい排出路にインプラントを使う方法です。
もともとの排出路の流れを良くするための手術です。
レーザーを使って排出路を広げる手術です。
どの手術も、視野の悪化を防ぐためのもので、失われた視野を取り戻すためのものではありません。
ですので、早めに治療に取り組み、進行を防ぐことが何よりも大切です。
岐阜県多治見市で行われた大規模な研究(多治見スタディ 2000~2001年)では、緑内障だと診断された患者さんのうち、なんと約90%がまだ発見されていない「潜在患者」だったことがわかりました。この研究は、多治見市に限定した調査ではなく、日本全体でも同じような傾向があるだろうということを示すために行われたものです。
つまり、緑内障が進行していても、自分では気づいていない方が非常に多いということになります。40歳以上の20人に1人が緑内障を持っているとされていますが、そのほとんどがまだ診断されていない可能性があるのです。
緑内障は、早期発見と早期治療がとても重要です。進行してからでは、視野の損失を取り戻すことが難しいため、定期的なスクリーニング検査を受けることをお勧めします。特に、健康診断や人間ドックの機会を活用し、少しでも気になることがあれば、すぐに眼科を受診してください。
早めの対応が、緑内障の進行を防ぐための大きな鍵となります。
子どもの頃には発症する緑内障を小児緑内障といいます。眼の中には透明なきれいな水(眼房水)が100分に1回取り換える速さで作られて眼球の中を循環しているのですが、この水の捨口となる隅角(ぐうかく)がきちんと形成されていないことが原因の原発性と、他の眼および全身疾患による異常や後天的な要因が原因となっているものを続発性と、大きく分けられています。
詳しくは『子どもの緑内障(小児緑内障)』をご覧ください